ガイド 古物営業法

中古車の古物台帳の書き方|業者オークション・個人買取・委託販売の記載方法

古物営業法16条に基づく古物台帳の記載事項、自動車は1万円未満でも記載が必要なこと、払出し時の相手方の省略、業者オークションで落札した車の相手方と確認措置の書き方、委託販売(代理出品)の区分、保存期間3年について、条文と警察庁の解釈基準に基づいて解説します。

この記事の要点

  • 受入れ・払出しのたびに記載。自動車は1万円未満でも記載義務がある(相手方の確認だけが免除)
  • 業者オークションの相手方は出品店。確認措置の欄は「古物市場」+会場名・開催日・出品番号
  • 委託販売(代理出品)は区分を「委託」と記載する。買受けと書くのは虚偽記載

古物商許可を受けた事業者は、古物を受け取ったとき・引き渡したときにその都度帳簿に記載する義務があります(古物営業法16条)。本記事では、中古車特有の場面(業者オークション、個人からの買取、委託販売)での記載方法を、条文と警察庁の解釈基準に基づいて整理します。

記載事項

古物営業法16条および施行規則17条が定める記載事項は次の5つです。

  1. 取引の年月日
  2. 品目と数量(自動車1台)
  3. 特徴。自動車は「自動車登録番号または車両番号、車名、車台番号、所有者の氏名または名称」(様式の備考3)
  4. 相手方の住所、氏名、職業、年齢(年齢は生年月日でも可)
  5. 相手方の真偽を確認するためにとった措置の区分と方法(身分証明書の提示、署名文書、非対面時の措置など)

様式は別記様式第15号で、受入れと払出しを取引の順に記載します。電磁的記録での保存も認められますが、営業所で直ちに紙に出力できることが条件です(18条1項)。複数の取引をまとめて記載することは認められていません。

出典: 古物営業法(e-Gov) / 古物営業法施行規則(e-Gov) / 古物営業関係法令の解釈基準等(警察庁)

自動車は1万円未満でも記載する

1万円未満の取引は帳簿記載と相手方確認が免除されるのが原則ですが、自動車はこの免除の例外です(施行規則18条1項3号)。1万円未満で免除されるのは相手方の確認のみで、台帳への記載は必要です。部品取り用の車を数千円で買い受けた場合も同様です。

払出し(販売)時の相手方は省略できる

自動車を引き渡した相手方については、住所・氏名・職業・年齢の記載が免除されています(施行規則18条2項)。登録制度により追跡が可能なためです。業販やオークション出品で落札店が判明しない場合でも違反にはなりません。判明している場合は記載しておくことを推奨します。

業者オークションで落札した場合

判断に迷いやすい場面です。整理すると次のとおりです。

  • 相手方は出品店(売主)であり、会場ではありません。会場(古物市場主)は17条により「取引の当事者の住所と氏名」を自らの帳簿に記録する側で、参加者が古物商であることは施行規則15条4項に基づき会場が確認しています
  • 出品店の名称と所在地は、落札後に届く譲渡証明書と印鑑証明書で確認できるため、それを相手方に記載します
  • 確認措置の欄は「古物市場」とし、会場名・開催日・出品番号(落札票の番号)を記載します。帳簿の実務解説でも会場名・伝票番号・取引日時を記載する扱いです
  • 書類の到着前に記載する場合は、相手方を空欄にして備考に会場と出品番号を残し、到着後に補記します
  • 「古物市場で買い受けた場合は確認・記載を省略できる」という規定は存在しないため、省略はできません

譲渡証明書が前所有者名義のまま届いた場合

出品店が自社名義に移転せず、前所有者の譲渡証明書をそのまま添付する運用(中間省略)は実務上見られます。この場合も台帳の相手方は売買の相手方である出品店で変わりません。前所有者は特徴欄の所有者(車検証の所有者)として記録されるため、両者が台帳に残ります。

個人から買い受ける場合

相手方の確認(15条1項)は買い受け時に必要です。対面の場合は運転免許証などの提示(施行規則15条1項)または署名文書(同2項)、非対面の場合は施行規則15条3項に定める措置(印鑑証明書と実印を押した書面、本人限定受取郵便、住民票と本人名義口座、eKYCなど)を用います。自店が販売した車をその買主から買い戻す場合は確認が不要です(15条2項2号)。

個人から買い受けた車は消費税の扱いも特殊で、古物商特例により帳簿のみで仕入税額控除が可能です。古物台帳に相手方の住所が記載されていれば、消費税の帳簿側では住所の記載を省略できます。詳細は中古車販売のインボイスを参照してください。

委託販売(代理出品)は「委託」と記載する

個人の車を預かって業者オークションに出品する、いわゆる代理出品の扱いです。16条は「売買若しくは交換の委託により古物を受け取り、又は引き渡したとき」も記載義務の対象とし、様式第15号の区分欄は受入れが「買受け/委託」、払出しが「売却/委託に基づく引渡し/返還」です(様式の備考1)。委託の場合も15条の相手方確認は必要です。

実態が委託であるにもかかわらず「買受け」と記載することは虚偽記載に当たり、罰則の対象です。一方、消費税の面では会場の精算書が出品店を売主として交付される(媒介者交付特例)ため、委託のまま処理する場合は委託販売契約書・精算書・手数料の請求書を整えたうえで税理士に確認する必要があります。オークションに出品する前提であれば、いったん買い受けてから販売する形のほうが、帳簿・書類・会場の扱いが一致します。買取であれば台帳は「買受け」→「売却」です。代金の決め方が「落札額から手数料を差し引いた額を後払い」であっても、所有権と危険負担が自店に移る契約であれば買取です。

保存・訂正・車両データを削除した場合

  • 保存期間は最終記載日から3年で、営業所に備え付けます(18条1項)。毀損・亡失・滅失した場合は直ちに所轄警察署長へ届け出ます(18条2項)
  • 誤記は削除せず、取り消して理由を残します
  • 車両の管理データを削除しても、台帳の行は残す必要があります。データで台帳を管理する場合は、車両の削除と台帳の行を分離しておきます

まとめ

  • 記載事項は5つ。自動車は1万円未満でも記載する
  • 業者オークションの相手方は出品店、確認措置は「古物市場」+会場名・開催日・出品番号
  • 委託販売は「委託」と記載する。オークション出品が前提なら買取にしたほうが帳簿と書類が一致する
  • 保存は3年。誤記は取り消しで残す

出典: 古物営業の手引き(和歌山県警察、様式第15号と記載例) / インボイス制度 Q&A 問48・106・110(国税庁)

本記事は一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言・税務助言ではありません。法令・様式・手数料は変わることがあります。提出先の案内で確認のうえ、個別の書類作成は行政書士、税務の判断は税理士にご相談ください。